■新監督の5クラブ パワーアップした清水エスパルス、浦和レッズ/戦力流出のベガルタ仙台、徳島ヴォルティス
今季、新監督の下でJリーグに臨むクラブは5つ。しかしC大阪のレヴィー・クルピ監督だけでなく、ベガルタ仙台の手倉森誠監督とJ2から昇格した徳島ヴォルティスのダニエル・ポヤトス監督には、苦しいシーズンになりそうだ。仙台はFW長沢駿、FWジャーメイン良、MF椎橋慧也らを失い、昨季浦和で活躍したMFマルティノスらを補強したが、戦力ダウンに見える。そして徳島は、4シーズンでJ2王者に育て上げたリカルド・ロドリゲス監督が浦和に移ってしまい、ポヤトス監督と契約したものの、新型コロナウイルスによる日本の入国制限で、来日の予定すらたっていない。
そうしたなか、新監督で大きく変わるのではないかと期待を集めるのが清水エスパルスだ。J2の東京ヴェルディとJ2のC大阪でしっかりとした守備を構築、好成績を残してきたミゲル・アンヘル・ロティーナ監督が就任した。GKに日本代表の権田修一、DFに大分の中心だった鈴木義宜、さらにC大阪で右サイドバックとして堅実なプレーを見せていた片山瑛一を補強、これまでの弱点を補った。
徳島をJ1に引き上げたリカルド・ロドリゲス監督を得た浦和も、「大変身」が期待されるチームだ。昨年の主力のうち、橋岡大樹、長澤和輝、青木拓矢、エヴェルトン、マルティノスらが抜け、柏木陽介は規律違反で移籍が決定、昨季チーム最多の11ゴールを挙げたレオナルドも中国のクラブに移籍が決定的と、クラブは大なたをふるった。
代わって獲得したうち、J1で実績があるのは西大伍、田中達也、金子大毅の3人だけ。しかしロドリゲス監督好みの明本考浩と小泉佳穂は、今季大化けする可能性がある。さらに2年目の武田英寿が攻撃の中心として今季注目の選手になる可能性も十分だ。阿部勇樹、槙野智章、興梠慎三といったベテラン選手たちにとっては、ロドリゲス監督のパスサッカーはミハイロ・ペトロヴィッチ監督時代(2012〜2017)に経験済みで、「大変革」も、最初の中断明けごろにはしっかりとなじむのではないか。
監督も代わらず、戦力的にも大きなプラスマイナスがないのが、コンサドーレ札幌だ。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督の合流が遅れているが、戦術的には昨年の「オールコートプレス、マンツーマンディフェンス」が継続されるので、開幕からそう乱れずに力を発揮していくのではないだろうか——。