■福岡のJ1昇格の立役者は川崎Fへ”復帰”
4人目には遠野大弥(アビスパ福岡→川崎フロンターレ)をあげたい。
福岡のJ1昇格に貢献した昨季は、川崎Fからの期限付き移籍でプレーしていた。厳密に言えば“個人昇格”に当たらないが、遠野はJ1でプレーしたことがない。17年にJFLのHondaFCに入団し、20年に川崎Fへ引き抜かれ、そのまま福岡へ合流したのだった。
昨季はCB上島拓巳(→柏へレンタルバック)と並ぶチーム最多の41試合に出場し、上島とエミル・サロモンソンに次ぐプレータイムを記録した。そのうえで、チーム最多の11ゴールをマークした。
価値ある得点も決めている。北九州との開幕戦でJリーグデビューを果たし、1対0の勝利に結びつく決勝弾をあげた。10節のヴァンフォーレ甲府戦で記録した自身リーグ2点目は、90分に2対2の引分けに持ち込むものだった。
シーズン終盤にも大きな仕事をやってのけた。
39節の金沢戦では、87分の一撃でチームを敗戦から救った。翌40節の京都戦では、1対0とリードした直後に貴重な追加点をあげた。昇格を決めた41節の愛媛FC戦でも、45+1分の得点が価値ある追加点となった。遠野の3試合連続弾によって、福岡はJ1昇格を引き寄せたと言っていい。
長谷部茂利監督が指揮した昨季の福岡では、4-4-2の2トップが定位置だった。川崎Fの鬼木達監督は、昨季と同じ3トップを基本線にするとしており、遠野はウイングのポジションを争うことになるだろう。また、DFラインの背中を奪う動き出し、密集にもぐりこんでいく突破力と瞬発力は、2列目でも生かすことができる。J1連覇とアジア制覇を視野に入れるタレント集団で、21歳のアタッカーは新たなキャリアを切り開いていく。
J2から個人昇格を果たした攻撃的なタレントでは、氣田亮真(V・ファーレン長崎→ベガルタ仙台)、渡邊凌磨(モンテディオ山形→FC東京)、加藤陸次樹(ツエーゲン金沢→セレッソ大阪)、山下敬大(ジェフユナイテッド千葉→サガン鳥栖)、仙頭啓矢(昨季途中に横浜F・マリノスから京都へ期限付き移籍→鳥栖)、渡邉新太(アルビレックス新潟→大分トリニータ)らも、今季のJ1で脚光を浴びるかもしれない。