■甲府は新戦力補強でACLにも備える
甲府が勝てば、磐田との勝点差は「7」から「4」に縮まる。磐田が勝てば、両チームの勝点差は「10」に広がる。J1昇格争いに影響を及ぼすこの6ポイントマッチでは、甲府の新戦力に注目だ。夏の移籍市場で主将のDF須貝英大をJ1の鹿島アントラーズへ引き抜かれたが、8月に入って即戦力を相次いで獲得している。
20年、21年に在籍し、22年から鹿島でプレーしていたMF中村亮太朗を、期限付き移籍で迎え入れた。さらにJ1での実績も豊富なFWクリスティアーノを、 V・ファーレン長崎からの期限付き移籍でスカッドに加えている。
前節のいわき戦後には、セレッソ大阪のDF松田陸、京都サンガF.C.のGKマイケル・ウッドも、期限付き移籍で甲府の一員となっている。松田は須貝の抜けた右SBでの起用が濃厚だ。ニュージーランド代表GKウッドは、河田が負傷したGKの人材をより強固にするだろう。
昨シーズンの天皇杯を制した甲府は、23-24シーズンのAFCチャンピオンズリーグに出場する。グループステージは9月から12月にかけて開催される予定で、J2リーグの終盤に日程が過密になることが想定される。ACLを戦いながらJ1昇格も狙うために、戦力の補充は必須だ。
勝点54で4位の東京ヴェルディは、MF長谷川竜也を横浜FCから獲得した。昨シーズンのJ2で小川航基(現NECナイメヘン/オランダ)とホットラインを形成し、リーグ2位の11アシストを記録した長谷川の加入で、2列目の選択肢が豊富になる。2位のジュビロ磐田を勝点2差で追いかけるチームに、29歳のMFの存在は頼もしい。
6位の長崎は、DFカルロス・グティエレスを町田から獲得した。当時J2のアビスパ福岡と栃木でプレーしてきた長身のスペイン人CBは、最終ラインに安定感をもたらすだろう。7月にはブラジル人アタッカーのマルコス・ギリェルメも獲得しており、こちらはすでにスタメンに定着している。6月末にJ1の柏レイソルから加入したMF中村慶太も、チームの中心として機能している。
下位チームではJ3降格圏の21位に沈む徳島ヴォルティスが、MF永木亮太を獲得した。J1の湘南ベルマーレからやってくる35歳の元日本代表は、チーム浮上の起爆剤になれるか。
徳島と勝点2差で20位のレノファ山口FCには、MF成岡輝瑠が加わった。昨シーズンも第2登録期間(ウインドー)に山口入りし、7試合3得点の結果を残した21歳である。
今シーズンの第2登録期間は、8月18日に閉じられた。J1昇格争いも、J2残留争いも、ここからが正念場だ。各チームは保有戦力を見つめ直し、ライバルの動向に目を配り、目標達成のためにギリギリまで動く。