■熊本の主砲・高橋は地元の浦和へ
22年のJ2で得点ランキング3位タイに食い込んだロアッソ熊本のFW高橋利樹は、出身地の浦和レッズへ引き抜かれた。
大木武監督のもとでJ2復帰1年目にして4位に食い込み、J1参入プレーオフの決定戦まで進出した熊本で、この24歳はチーム最多の14ゴールをマークした。ストロングポイントとするヘディングシュートから5得点を記録しているが、DFラインの背後を取る動き出し、ゴール前の密集へ滑り込む嗅覚も鋭い。泥臭いゴールも決められる選手だ。
また、守備面でもハードワークできる。熊本のようにパスの供給源との関係を密にできれば、J1でも2ケタ得点を狙えるだろう。
その熊本からは、主将のMF河原創がサガン鳥栖へ、サイドアタッカーの杉山直宏がガンバ大阪へ、同じくサイドアタッカーの坂本亘基が横浜FCへ、新天地を求めた。3バックの左CBを主戦場としたイヨハ理ヘンリーは、所属元のサンフレッチェ広島へ復帰したのちに京都サンガF.C.へ期限付き移籍している。
3-3-1-3のシステムでアンカーを務めた河原は、デュエルの強さとパスセンスを備えた現代的なMFだ。プレスキックのキッカーも務め、22年はリーグ最多の12アシストを記録している。ハードワークを身上とする鳥栖のチームカラーにマッチしており、J1での飛躍が期待できるひとりだ。
河原が加入する鳥栖には、FW富樫敬真も加入する。プロ8シーズン目となった22年は、ベガルタ仙台で自身初の2ケタ得点(11)をマークした。29歳になったリオ五輪世代のFWは、プロ6チーム目となる鳥栖で確固たる地位を築けるか。
ストライカーでは植中朝日、木下康介、佐藤凌我も、J1へ戦いの舞台を移す。
20年にV・ファーレン長崎入りした植中は、J1王者の横浜F・マリノスの一員となる。プロ2年目の21年後半に出場機会を増やし、19試合出場で10ゴールを叩き出して脚光を浴びた。
DFと駆け引きをしながら最終ラインの背後を突き、冷静なフィニッシュで仕留める。22年は28試合出場で5得点にとどまったが、パリ五輪世代の21歳は将来性を見込まれてステップアップした。
木下は190センチの長身FWで、欧州の複数クラブを経て21年に浦和入りした。22年は水戸ホーリーホックに完全移籍し、12ゴールをゲットした。そして、京都からオファーを受けた。
長身ながら足元の技術が高く、ドリブルでの持ち出しもスムーズだ。ターゲットマンにとどまらず、様々な役割をこなすことができる。ピーター・ウタカが抜けた京都の前線で、一美和成やパトリックと最前線中央を争う。
佐藤は21年に明治大学から東京ヴェルディ入りし、13ゴールを記録した。すでにこの時点で他チームが注目する存在となり、プロ2年目の22年も13ゴールをあげたことで、出身地のクラブでもあるアビスパ福岡への完全移籍を決断した。
東京Vでは4-3-3のCFや4-4-2の2トップなどで起用された。ゴール前のフィニッシュワークに優れており、アシスト役に恵まれれば相応の数字は計算できる。途中出場からの得点が多いのも特徴で、福岡では幅広い起用法が見込まれるだろう。