■三竿に代えて入れたユース出身のルーキー
チームを構築している途中で結果が出なかった昨季と、より多くの若手選手をピッチに送り出して結果がなかなか出ない今季。ザーゴ政権の1年目と2年目で成績はほぼ同じだが、どちらもチーム作りの過程と見ることもできる。
ザーゴ監督は、77分に3枚替えを行って試合の流れを呼び込もうとした。ピッチに送り出したのは、昨季は主力だったファン・アラーノ、ベテランの遠藤康、そして、ユースから今季昇格したばかりの舩橋佑だ。船橋は、チームキャプテンの三竿健斗に代えての交代である。主導権を握られながらも1点を追う場面で1年目の船橋を送り込んだザーゴ監督の狙いは、あるいはチームの今後を見据えたものかもしれない。
浦和にリードを許した鹿島イレブンは、ゴール前に選手が集まって試合の進め方を確認していた場面もあった。調子が悪いからといって、勝負をひっくり返そうとする心まではさび付いていなかった。
前半に先制点を許しながらも、セットプレーで追いついたのは調子が悪い試合でも白星を重ねてきた鹿島らしさの一端ではある。常勝軍団として、勝利が義務付けられている鹿島アントラーズが、今季終盤にどのような順位にいるのか。“埼玉ショック”を糧に、前に進むしかない。