■指揮官が三笘薫に話していたこと

 この大分戦の2得点と、左サイドを何度も切り裂いたドリブルは、そうした三笘のうっぷんを晴らすかのようなだった。

「アルゼンチンを相手になかなか自分のプレーができず、他の選手は(良いプレーを)できていた中で、(自分はできていない)悔しい思いがあった。ピッチ上で、相手は違うがJリーグで結果を出すしかないと思ってやっていました」

 大分戦後、三笘はこう振り返った。アルゼンチン戦の第2戦で先発した田中碧は、ボランチでチームをコントロールし、評価を高めた。旗手は、いつも通りのひょうひょうとしたプレーを披露した。そうした周囲の活躍が、三笘の心に火をつけたのだ。

 そんな三笘に鬼木達監督は、こう話していたという。

「気負い過ぎずに、自分で行くところ、人を使うところで、周りを使えばもう1回自分にチャンスが回ってくるとは話していた」

「自分で行く、また相手を引きつけて味方を使える選手で、そこで目線が変わってチャンスもできる」

 昨季、新人ながらJリーグベストイレブンに選ばれたように、ドリブルで何人もかわす“無双”を幾度となく見せてきた三笘だが、そうしたドリブルが必ずしもすべてチャンスにつながるわけではない。そのストロング部分を結果に結びつける意味で、指揮官は“判断の力”を求めていたという。

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