■拍手だけのスタンド風景

 スタジアムからは敵意が消えて、友好的で平和的な雰囲気が醸し出されている。

 リモートマッチとして再開したJリーグは、7月10日以降は5000人までの観客を入れながら実施されている。ヨーロッパの主要リーグ、そして8月に行われるUEFAチャンピオンズリーグがほとんど無観客のままで行われたのに比較して、日本では制限付きではありながら、観客を迎えて試合が行われたのは素晴らしいことだ。

 スポーツという非生産的な(不要不急の)活動を行うことによって選手やスタッフ、関係者、そして試合の模様を伝える報道関係者は生活を営むことができている。それは、スポーツという行為によってファンやサポーターに夢や希望、活力といったものを与えることができるからなのであろう。つまり、ファンやサポーターがいなかったらプロ・スポーツというものはそもそも存在しえないのだ。

 だから、スタジアムに観客を迎えることを第一に考えたJリーグ(およびプロ野球)の判断は正しかった。

 しかし、観客数の制限によってスタンドの風景は一変してしまった。スタジアムに戻ってきた観客は声を出すことすら禁じられているのだ。

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