■山瀬がメモリアル弾!!愛媛が最下位脱出!
14位以下の9チームによるJ2残留争いは、降格圏の下位4チームに変動があった。前節まで最下位の愛媛FCが、FC琉球に1対0で勝利したのだ。
勝利の立役者は山瀬功治だ。0対0の81分に途中出場すると、87分に自陣から持ち出し、藤本佳希につなぐ。背番号10がセンターサークル付近からペナルティエリア内左で運び、フォローしていた山瀬がマイナスのラストパスを左足で流し込んだ。
「佳希がひとりであそこまで持ち上がってくれたので、僕的には決めるだけでした。相手のディフェンスが佳希に引っ張られて、カウンター気味だったということもあって僕へのマークが少しルーズになっていたので、ボールさえくればと思っていました。佳希に感謝したいと思います」
試合後の山瀬は藤本に感謝しきりだったが、藤本は「今日のアシストは功治さんのクオリティでついたもの」と背番号33を讃えた。實好礼忠監督も「山瀬の素晴らしい準備のなかで生まれた、メモリアルなゴールだったと思います」と評価した
ふたつの意味でメモリアルなゴールだった。
プロ22年目を過ごす40歳は、00年のデビューから北海道コンサドーレ札幌、浦和レッズ、横浜F・マリノス、川崎フロンターレとJ1のクラブを渡り歩き、13年にプロ1年目以来となるJ2へ戦いの舞台を移した。京都からアビスパ福岡を経て19年に愛媛に加入し、すべてのシーズンで得点を決めてきた。チームに勝ち点3をもたらす価値ある決勝弾は、自身にとって22シーズン連続のゴールでもあった。
山瀬自身は「それはひとつの結果でしかないです」と謙遜した。「ゴールを狙うのは選手なら誰しも意識することで、僕の場合はたまたま入っているだけです。ありがたいです」
もうひとつのメモリアルは、J2通算300試合である。J1通算も288試合を数える。これについては、表情を少し崩した。周囲のサポートに思いを馳せた。
「ひとつの通過点というか結果でしかないとはいえ、ホントに色々な人の支えとか色々な力を借りてこういう形ができたと思うので、素直にそこは感謝したいですね」
元日本代表MFの活躍もあり14位以下の9チームで唯一白星を手にした愛媛は、勝点を32に伸ばした。SC相模原、ギラヴァンツ北九州、松本山雅FCを抜き、18位のツエーゲン金沢に勝点で並んだが、順位は19位だ。J2降格圏からは脱出できていない。山瀬も「まだ何かを達成したわけではない。厳しい状況にあることも変わりない」と、厳しい現実を自覚する。
ここから先は2強との連戦だ。35節はアウェイの磐田戦で、36節はホームの京都戦である。この2試合の結果は、愛媛の今シーズンを大きく左右する。實好監督率いるチームがサプライズを起こせば、J2残留争いはもちろんJ1昇格争いもさらにヒートアップしていくだろう。