「決定力とは何か」キャスパー・ユンカー(1) 「これは本物だ」と思わせた仙台戦の画像
浦和レッズのキャスパー・ユンカー 撮影/中地拓也

お気づきだったろうか。ユンカー旋風が静かに吹き始めている。昨年のオルンガ台風ほどの派手さはない。しかし静かに、着実にブームは胎動を始めた。J1デビューから出場4試合のリーグ戦すべてでゴールを決めて、計5得点。他を圧倒する高さや強さ、スピード、ボールテクニックを披露するわけではない。武器は、「決定力」というストライカーとしての能力そのもの。わたしたちは、ユンカーを分析して、理解する必要がある。浦和レッズは彼のデビュー以来、3勝1分け無敗で順位を8位に上げてきた。

■大物ストライカーがやって来た

 浦和レッズの新外国人ストライカー、キャスパー・ユンカーが猛威を振るっている。5月9日、J1第13節の仙台戦でJリーグにデビューし、後半13分に先制ゴール。5月26日の第16節広島戦まで4試合連続得点で計5得点。たちまち得点ランキングの13位に躍り出た。デビューから4試合連続得点は、Jリーグでは四半世紀ぶりのことだという。

 だがユンカーの「日本デビュー」は、J1の試合ではなくルヴァンカップ。5月5日、柏レイソルとのアウェーゲームに先発で出場、前半9分にいきなり得点を決めた。

 自陣左から汰木康也がドリブルで突破。相手ゴールに向かって中央を走るユンカーは、最初は田中隼人にマークされていたが、汰木から離れるように右に動き、田中のマークから外れる。代わって柏は大嶽拓馬がマークにつくが、ユンカーはこの若いふたり(大嶽は18歳、田中は17歳)を手玉にとるように今度は左に動いて田中の前を横切りながら縦に動く。そこにすかさず汰木のパスがくる。ユンカーは左足で合わせワンタッチでゴール右隅に流し込んだ。

 このプレーは、まさにユンカーの得意中の得意のプレー。昨年、彼は所属したノルウェー1部リーグのFKボデ/グリムトで27得点を挙げ、得点王になるとともにこの「北極圏」の町のクラブに初のリーグ優勝をもたらし、リーグMVPにも輝いている。ペナルティーエリアに走り込みながら左足ワンタッチで正確なシュートを送り込む得点は、そのシーズンの彼のゴールシーンを集めた映像のイメージどおりのプレーだった。

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