■本物を証明した仙台戦でのゴール
この試合は後半13分に明本考浩と交代。浦和はその直後から3連続失点を喫しながらアディショナルタイムに伊藤敦樹と関根貴大の得点で3-3の引き分けに持ち込むという大荒れの展開のなかで、「ユンカー初得点」の印象は薄いものとなってしまった。
「これは本物だ」と思わせたのは、その週末、5月9日に埼スタで行われたJ1第13節の仙台戦だった。0-0で迎えた後半13分、武藤雄樹が小泉佳穂とのパス交換でバイタルエリアに侵入。ペナルティーエリア正面手前で待っていたユンカーはパス交換の間に右に動いて武藤のシュートコースをつくると、武藤は自分に相手3人が群がる瞬間を逃さすに右にパス。ユンカーはペナルティーエリアにはいりながらフリーでボールを受け、左足アウトでワンストップ。前進する仙台GKスウォビィクを見て左足アウトで軽く浮かし、脇の下を抜いてゴールに送り込んだ。
まったく同じ状況で、GKにぶつけたり、残した足にはじかれてゴールを決めきれないシーンを、Jリーグで何回見てきただろう。武藤からペナルティーエリア右のユンカーにパスが出た瞬間、JリーグきってのGKであるスウォビィクはすばやく前進し、ユンカーが止めたときにはすでに足を止め、両足に均等に体重をかけ、上半身はリラックスしてどんなコースにも対応できる準備ができていた。GKの技術としてはミスはなかった。それでも、ユンカーは冷静にわずかなシュートコースに打ち抜いたのだ。非凡なゴールの能力を感じさせたゴールだった。
その後、ユンカーは第14節のG大阪戦では田中達也のクロスからヘディングシュートを決め、次には田中の強いパスに左足で合わせて得点。続く第15節の神戸戦では左CKのクリアを拾った西大伍のロビングがこぼれてくるところをきれいな左足ボレーで合わせて勝利を決定づけるゴールを決め、さらに第16節の広島戦では左から汰木が入れたシュートのようなクロスに右足で合わせて先制点。これで「Jリーグデビューから4試合連続得点」となった。