■「13本のシュートで1得点」の前半

 ここは広島GK大迫敬介が防ぐが、ボールは山根の足元に。この攻撃的な右サイドバックは、すぐに2本目のシュートを撃たずに冷静に状況を見極めると、フェイントを入れたうえでペナルティエリア中央に侵入してきた脇坂にパス。さらに脇坂は、ダイレクトでボールを右に流すと、ダミアンがスルーし、背後から出てきた家長が左足でゴールネットに“パス”をする先制弾を決めたのだ。

 川崎がピッチを支配していたことを考えれば自然な流れで、その後も川崎が攻め続けて決定機をいくつか迎えたが、前半終了を告げるホイッスルが鳴るまでにそれ以上のゴールは生まれなかった。最初の45分間で放ったシュートは13本。対する広島はなんと0本。

 王者がその実力を示す内容だったが、サッカーで競うのはあくまでも得点数だ。攻め続けて放った13本のシュートで1得点という、ある意味で“ぜいたくな決定力不足”が、この日の結果に現れる。

 後半もあくまでも川崎ペースで試合が進んだが、前半同様、なかなか追加点が決められない。そして、65分、広島の10番に同点弾を決められてしまう。そのゴールは、広島FWジュニオール・サントスの“個の力”によってもたらされた。

 アウェイチームがボールを保持したところで、川崎がプレスをかける。三笘の寄せを回避すべく、GK大迫が前線にフィード。サントスはそのボールを、ジェジエウと体を入れ替える形で前線に運ぶ。そのままパワーとスピードを武器にペナルティエリアまで前進。この試合で戦線に復帰したGKチョン・ソンリョンが守るゴールに向かってシュートを放ったのだ。

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