■得点数は2位チームを圧倒的に引き離した30得点

 このシュートはポストに当たって弾かれるも、MF森島司に押し込まれて失点。試合内容を反映せず、結果だけはイーブンに持ち込まれた。残り時間は25分。昨年以降、圧倒的な強さを見せてきた川崎にすれば勝ち越すのには十分な時間だったが、この日は結局、追加点を奪うことはできなかった。

 途中出場した小林悠が88分に太ももを痛めてしまい、十分なプレーができない事態に。そのため、小林の負担を少しでも軽減させるために4-3-3から4-4-2にシステムを変更することとなった。アディショナルタイム7分を使って反撃したい場面で、選択肢が狭まってしまったのだ。

「1試合につき3得点」

 これは、鬼木達監督が川崎に課した使命だ。指揮官が事あるごとにこの目標を口にするのには、2つの理由がある。一つは、サポーターに面白いサッカーを見せるため。そしてもう一つが、何が起きるか分からないのがサッカーだということを理解しているからだ。

 この試合のシュート数は、川崎が20本だったのに対して広島は5本。それでも、試合の結果は引き分けで、勝ち点は「1」しか上積みできない。いくら準備をしても失点は起きてしまうからこそ、攻撃で圧倒てしてみせようというのが川崎の“勝ち方”だ。そのコンセプトの重要さを、改めて痛感させられた試合だった。

“ぜいたくな決定力不足”と言ったが、川崎は今季の公式戦すべてで得点しており、リーグ戦の得点数30は、2位のC大阪の18得点を大きく引き離している。通常のチームであれば、決定力不足とはとても呼べない数字だ。しかし、川崎は通常のチームではない。歴史に残る王者だ。対戦する相手をすべて圧倒する責務がある。だからこそ、“ぜいたくな決定力不足”なのだ。

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