■甲本コーチの「涙の理由」
試合後の会見で、涙の理由について聞かれた甲本ヘッドコーチは、「リカルドからは“良かったよ、前半は特に良かったよ”という話をされました。後半、僕らが修正できなかったのが悔しくて、ちょっと泣いてしまいました」と説明した。相手の指揮官がこのように話すのも、リカルド監督との絆が深いゆえだろう。
一方、古巣対決を終えたリカルド監督も、徳島について「彼らは(シーズン開幕の)最初のところは難しい場面もあったと思いますが、そこから良い流れで試合に勝って、J1の舞台でも良いプレーができている」と、かつての愛弟子たちを称えた。
実際に対戦した古巣の現在の印象を聞かれると、「ボールを持ちながらプレスに行けるチームになっている。今日は我々が勝ったが、他の試合で他のチームと戦っても彼らはきっといい試合ができる力があると思います」と、古巣を激励した。
印象的だったのは、選手入場後のシーン。リカルド監督は徳島のベンチに向かい、古巣のスタッフや選手たちを労い、健闘を誓い合った。笑顔を見せながら、時間をかけて一人ひとりに声を掛けていく。中には、自らリカルド監督に抱きつくスタッフや選手もいたほどだ。そして、挨拶を終えると、引き締まった表情で浦和ベンチへと戻る。指揮官の人柄がにじみ出る場面だった。