J2021年のJリーグがいよいよ幕を開ける。本稿では新たなシーズンに挑むJ1各チームの注目選手を2名ずつピックアップ。チームとしてのポイントも紹介する。ニュースターの誕生を期待したい。
◎大分トリニータ
片野坂知宏監督にとって、このオフは辛いものになってしまった。2016年のJ3時代から育て上げてきた生え抜きの岩田智輝が横浜F・マリノスに移籍しただけでなく、同じくJ3から共にステップアップしてきてキャプテンも任せていた鈴木義宜が清水エスパルスに引き抜かれた。2人の移籍に対して片野坂監督はクラブ公式ページに異例のメッセージを掲載し、慰留できなかった悔しさを明かした。
その他にも、ハードワークでチームを支えていた島川俊郎がサガン鳥栖に、ドリブルとゴールでチームを勝利に導いていた田中達也が浦和レッズに移籍するなど、手痛い別れが続いた。J3からの復活を遂げ、J1に定着することに成功したかに思えた大分だったが、4チームが降格することになるシーズンを前にいきなり不安要素が出てきてしまった。
2019年の夏には藤本憲明がヴィッセル神戸に引き抜かれることとオナイウ阿道のゴールがシーズン終了までピタリと止まってしまったことが重なったが、堅守で戦い抜き9位で終えた。今回はその堅守の部分が揺らぐ事態になった。
しかし、片野坂監督ならなんとかしてくれるのではないか、そうも思える。
ビルドアップとハードワークという自分たちの特徴を保ちながら、相手ごとに弱点を突くサッカーを準備して戦う。試合ごとに選手に戦い方を浸透させるその手腕で、残った選手と新たに加入した選手でこれまで通りカタノサッカーを見せて驚かせてくれる。そう思えてならない。