■注目選手(1) MF:下田北斗川崎フロンターレから加入)

 2017年のシーズン終了後、下田が湘南ベルマーレから川崎フロンターレに移籍することが発表された時に、ドンピシャの移籍だ、と思った。左足のキック精度は抜群で、ミドルシュートも魅力。川崎のパスサッカーの中でその良さをより発揮し、絶対的な存在になれるのではないか、そう思った。スパイクが中村憲剛と同じミズノのモレリア2だったことも川崎の中心選手になりそうな予感を漂わせていた。

 しかし、2018年に守田英正が、翌2019年には田中碧が一気にレギュラーの座を射止めた。大島僚太が怪我で離脱した時や守田がサイドバックに回った時などに出場機会を得たが、レギュラーにはなれなかった。

 昨年は3人のセントラルミッドフィルダーを起用するフォーメーションを採用した川崎だったが、大島、守田、田中だけでなく、前年までは1つ前で起用されていた脇坂泰斗、そしてもちろん中村ともそのポジションを争うことになった。途中で守田がアンカーに固定されるとその競争はますます激しくなり、下田のリーグ戦先発出場は5試合だけだった。その5試合も、5人の交代枠を活用した川崎において、ハーフタイムで交代した試合が2つあった。途中出場は9試合あったが、後半開始からプレーできたことはなく、6試合は残り試合時間が10分を切ってからの登場だった。

 それでも、試合に出てくればいつもそのクオリティは確かなものだった。左足の精度はやはり素晴らしく、精力的にピッチを駆けまわり、チームの淀みない攻撃を支えた。

 大分には年間を通じてチームの中心にいることを期待されての加入だ。「僕自身勝負の一年だと思っています」移籍の挨拶にその言葉を加えたように、チームを牽引することができる選手だということを知らしめてほしい。

MF下田北斗選手(大分トリニータ) 撮影/原壮史

 

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