■2位福岡と3位長崎は譲らず!

 2位のアビスパ福岡は、ホームで京都サンガに2対0で勝利した。

 勝負のポイントは前半終了間際に見つけられる。京都のピーター・ウタカに決定的なシュートを許したものの、失点を免れた場面だ。ここで先制点を与えていたら、試合の行方は変わっていたはずである。

 0対0で迎えた後半の63分、エミル・サロモンソンが自身2点目となる先制ゴールを蹴り込んだ。65分には遠野大弥が左足でネットを揺らした。川崎フロンターレから期限付き移籍中の21歳は、シーズン10得点目である。このまま2対0で押し切った福岡は、3試合ぶりの勝点3をゲットした。

 複数得点とクリーンシートを両立させたのは、10月10日の25節以来となる。攻守が噛み合ったと言っていい試合に、長谷部茂利監督は「自分たちの狙いがたくさん出た。いいゲームだった」と振り返っている。

 愛媛FCとのアウェイゲームに挑む次節は、2列目のMF増山朝陽を累積警告で欠く。長谷部監督のここまでの選手起用から判断すると、次節の増山は先発が予想されていたが、オプションはいくつもある。チーム全体でカバーできるはずだ。

 シーズン終盤になってJ1昇格が現実味を帯びていくなかで、勝ち切れない試合も経験してきた。それでも、33節のFC琉球戦から今節まで、8試合負けなしで勝点を積み上げてきている。シーズンを通して培ってきた安定感のある試合の先に、福岡は15年以来のJ1昇格を見据えているのだろう。

 福岡を追走する長崎も、2対0で勝利した。前半のうちに角田誠大竹洋平が得点し、東京ヴェルディを退けた。

 複数得点は3試合ぶりで、角田の先制点はCKからだった。手倉森監督は「セットプレーで点が取れると流れも来るし、ゲームコントロールも効いてくる。このゲームをあと2試合続けるだけだ」と、納得の表情を浮かべている。

 福岡を勝点2差で追う長崎は、勝ち続けることでJ1昇格の可能性をつなぎ止め、勝ち続けてもJ1昇格が叶わないかもしれない立場である。手倉森監督も「他力は他力、そのとおりです。福岡が勝点を落とさないとJ1昇格は見えてこない」と話すが、指揮官は「地力」を強調する。

「でも、自分たちが勝っていくためには地力が必要。そもそもの力を示さないといけない。他力本願のなかで、積み上げてきているもの、やろうとしているものを出すことに集中していきたい」

 残り2試合はホームでの連戦だ。今シーズンここまでリーグ最多の勝点を獲得してきたホームスタジアムで、歓喜を引き寄せるための戦いを続けていく。

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