■鹿島、浦和、広島の第2ユニの不思議
話がずれてしまった。今季のJリーグで腰が抜けるほど驚いたのは、鹿島アントラーズ、浦和レッズ、そしてサンフレッチェ広島の3クラブの第2ユニホームがまったく同じだったことだ。Vネックの前首の部分だけ赤く縁取られた白のシャツ、赤のパンツ、そして白のストッキング。他の2チームにはつけられているストッキング上部の赤い1本線が浦和にはないというところがわずかに違うが、他はほとんど区別がつかない。メーカーはパンツの赤はそれぞれ違うと説明しているが、私には見分けがつかない。
3チームともメーカーはナイキである。手違いで同じになってしまったわけではなく、意図的に3チームを「共通コンセプト」で合わせた「史上初」の試みだという。「スポーツの魅力や楽しさ、感動を伝えるとともに、幸せや平和の実現をフットボールを通じて目指すというナイキと各クラブの理念が反映されている」と、ナイキは誇らかに唱っている。
だが3チームまったく同じとは……。スポーツニュースを見ていると、アウェーチームが鹿島なのか浦和なのか広島なのか、まったくわからない。毎年新しいユニホームを考えなければならないメーカーが疲れてしまったのかとも思ったが、他のクラブと同じデザイン、色のユニホームを喜ぶサポーターがいるはずがない。あまりに手抜きではないかと、あきれるのである。
もしかしたら、鹿島、浦和、広島の3クラブは、他の2クラブをホームスタジアムに迎えたとき、相手を味方と思ってパスをしてしまうのではないか、そう、岐阜の永島のように――。そう思って、3クラブの対戦を調べてみた。ところがなんと、鹿島も浦和も、この3チームの直接対決のホーム2試合をともに勝っているのだ。広島も鹿島には勝ち、浦和とは引き分け。ホームの勝率(得た勝ち点/最大限得ることのできた勝ち点)は、88.9%。これは通常のJリーグのホーム勝率をはるかに上回る数字だ。私の推理は見事に外れた。なぜこのようなことになったのか、来年もナイキが何チームか同じ第2ユニホームをつくってくれたら、調査を続行できるのだが……。