■岐阜FCと松本山雅のユニホーム合戦
Jリーグ史で最も恥ずべき「ユニホーム事件」が起きたのは、2017年のJ2第3節のことだった。岐阜FC対松本山雅。ともに第1は緑のユニホームである。当然、松本が第2の「グレー」にして岐阜の長良川競技場に乗り込んだ。ところが試合が始まると、両チームのユニホームがあまりに見分けにくい。松本の「グレー」がかなり濃い色で、両チームの選手が入り乱れるとわからなくなってしまうのだ。
本来なら主審が試合を止めてなんとかさせるべきだったが、ようやく試合が止められたのは前半11分になってからだった。岐阜が左から攻め、はね返されたクロスをMF永島悠史が拾う。そして後方からフォローしてきた「味方」に渡し、シュートさせようとした。驚いたのは、永島だった。それは味方ではなく、「グレー」のユニホームを着た松本のMF工藤浩平だったのだ。
プレーが止まった後に、選手たちからのアピールを受けた上田益也主審はユニホームを変えるべきということに同意した。しかし松本がもってきているのはこの「グレー」だけ(第1ユニホームをもってきていても岐阜と同じ「緑」だから意味はなかった)。結局、ハーフタイムにホームの岐阜が第2の「白」を用意し、シャツだけ着替えて後半の45分間を戦った。試合は0-1。松本が勝った。
第2ユニホームは、「ちょっとワル」であると同時に、気ままで、好き勝手に生きる「次男」のようなところがある。しっかりと「伝統」を守る「長男」(「第1ユニホーム」)と違い、あっちに変わり、こっちに変わり、好き放題に生きている。
おっと、これは一般的な話であり、けっして私のことではない。大住家では、長男の私が好き勝手に生きているのに対し、弟はしっかりと家を守ってくれているからだ。こんなことを書いても15年間も実家に帰っていないことの言い訳にはならないが、弟には、そして姉には、いつも済まないと思い、感謝している私なのである。