サンフレッチェ広島vs柏レイソル浦和レッズvsセレッソ大阪

 その最初の観戦が、12月30日に東京の国立競技場で行われた準決勝の2試合、東洋工業(現在のサンフレッチェ広島)対日立本社(柏レイソル)、そして三菱重工(浦和レッズ)対ヤンマー・ディーゼル(セレッソ大阪)だった。3日前の準々決勝では、4つのJSLチームが勝ち進んでいた。学生チームがすべて1回戦で消えたのは、この形になって初めてのことだった。日本サッカーのスターが勢ぞろいする豪華2カードを連続で見ることができる天皇杯準決勝。見のがすことなどできない。

 ちなみに、学生時代の私は、天皇杯準決勝を見てから横須賀の実家に帰り、元旦に正月の雑煮を食べるとすぐに国立競技場での天皇杯決勝に向かうという生活だった。実家が神社であるというのに、「初詣」は国立競技場という、とんだ「たわけ者」だったのだ(いまでもあまり変わらないが……)。

 日本の正月と言えば、なんと言っても国立競技場、天皇杯の決勝戦なのである。2014年に建て替えのため旧・国立競技場が取り壊されるまで、天皇杯決勝は半世紀近く元日の国立競技場を舞台にしてきた。2014年大会からは、日産スタジアム、埼玉スタジアム、吹田スタジアムを転々としたが、ことしの元日に行われた昨年度の決勝戦からようやく新国立競技場での開催となった。ただ、2015年と2019年は1月にAFCアジアカップの決勝大会が行われた関係で、この前年度の決勝戦はそれぞれ12月に開催されている。次回、2023年のアジアカップは中国で6~7月なので、当面は、「元日決勝」が続くものと思われる。

 元日決勝が始まったのは、私が最初に見た第50回大会から、そうさかのぼることではない。決勝戦が国立競技場で開催されるようになったのが1967年度の第47回大会。「元日・国立決勝」の第1回は、その翌年、1968年度、1969年の正月のことだった。

 当時、元日にはトップクラスのスポーツは行われていなかった。1967年、NHKが「なんとか元日に生のスポーツ中継をしたい」と考え出したのが、国立競技場でJSLのチャンピオンと学生のチャンピオンが対戦する1968年元日の「NHK杯サッカー」だった。1964年の東京オリンピック後から続く「サッカーブーム」が、劇的な展開で翌1968年のメキシコ・オリンピックの出場権を確保したことでさらに盛り上がっていたことで、試合と生中継が決まった。

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