■前半戦首位ターンのチームの最終成績は…

 こうなると気になるのは、町田のJ1昇格の可能性だろう。

 2022年の前半戦を首位でターンしたアルビレックス新潟は、そのままJ2優勝を果たした。21年のジュビロ磐田も、J2優勝でのJ1昇格を果たしている。

 20年は前半戦とシーズン終了で、様相が異なる。J3からJ2へ昇格したギラヴァンツ北九州が首位ターンを果たしたが、最終的には5位に後退する。前半戦を2位で折り返した徳島ヴォルティスが1位で、同4位のアビスパ福岡が2位で、J1への切符を手にしたのだった。 

 19年も前半戦終了時と最終成績に変化がある。モンテディオ山形が首位で、京都サンガF.C.が2位で折り返したが、J1昇格をつかんだのは前半戦3位の柏レイソルと、同12位の横浜FCだった。

 18年は大分トリニータが前半戦を首位で折り返し、最終的に2位でJ1昇格を果たした。J2優勝でのJ1行きを成し遂げたのは、前半戦4位の松本山雅FCだった。

 こうして過去5シーズンを振り返ると、首位で折り返した5チームのうち3チームが、J1へ辿り着いている。もうひとつ言えば、前半戦の町田が稼いだ勝点「46」は、首位ターンでJ1昇格を逃した20年の北九州(勝点44)と19年の山形(勝点40)を上回る。黒田監督が指揮するチームは、確かなアドバンテージを得ていると言えそうだ。

 前半戦最後の試合となった6月18日の栃木SC戦は、1対1のドローに終わった。

 守備時は5バックでスペースを消してくる相手を攻略できずにいると、27分に先制点を奪われてしまう。後半は敵陣でプレーする時間を増やし、エリキが圧巻の個人技を見せた同点弾で勝点1を持ち帰った。

 前半戦の町田は、「先行逃げ切り」を勝ちパターンとした。後半戦は「追われる立場」が鮮明になるが、エリキとミッチェル・デュークという「個」の力があり、日本人アタッカーも様々なタイプが揃っている。CKやロングスローなどから、ゴールを取り切ることもできている。主力選手の戦線離脱といったアクシデントさえなければ、このままJ1昇格争いをリードしていくだろう。

【その(2)へ】
  1. 1
  2. 2
  3. 3