■ウルグアイは「個」で問題を解決していた
戦術や戦略ではなく、より根本的な課題も浮き彫りになった。
「個」の力である。
ウルグアイはデュエルに強い。ディフェンスでタフに戦うのは20世紀からの伝統だが、彼らは局面ごとに訪れる問題を「個人」で解決することができる。ひとりで崩すことも、ひとりで守りきることもできるのだ。
38分の先制点は分かりやすい。右サイドからのクロスをきっかけにゴール前にこぼれてきたボールを、バルベルデがペナルティエリアに入るかどうかの位置でシュートへつなげ、バーに弾かれたボールを自ら頭でプッシュした。レアル・マドリード所属のMFは、得点の予感が強く漂っていたわけでもない場面を、個の力で歓喜に変えたのだった。
「個」のレベルアップは、所属クラブでの活動が裏づけとなる。日本がW杯ベスト8入りを現実的なターゲットとするには、個々のレベルアップも引き続き大切な要素になる。
ボールを保持したなかでの決定機は少なく、セットプレーからも相手ゴールに迫れなかった。カタールW杯の課題は引き続き持ち越されているわけだが、ウルグアイ戦はリスタートの第一歩だ。劇的な改善を期待できないのは、試合前から分かっていたことでもある。
チームが始動したばかりのこのタイミングは、トライ&エラーが許される時期だ。森保監督には実験的な試みが許容される。「個」の特徴を最大限に引き出しながら、チームとしてのクオリティが高まるバランスを、引き続き探っていくべきである。