【久保建英、三笘薫に続く「未来の日本代表」】タックル数断トツ!「ボールハンター」京都・川崎颯太と“冨安健洋と同学年”貴重な「186センチ左利き」CB【J2のダイアモンドたち】(1)【戸塚啓のJ2のミカタ特別編】の画像
川崎颯太(京都)   写真:新井賢一/アフロ

■京都・川崎京都はJ屈指のボールハンター

 次代の日本代表を背負うかもしれないタレントは、J2リーグにもいる。久保建英と同じパリ五輪世代の俊英がいる。日本代表とベルギーで注目を集める三笘薫のように、世界で通用する武器を持った選手もいる。

 今シーズンのJ2では、左利きのDF伊藤洋輝が夏にジュビロ磐田からシュトゥットガルトへ移籍し、ブンデスリーガ1部のクラブで定位置をつかみつつある。J2の競争力は決して低くはない。まだまだ粗削りなところはあるものの、ネクストブレイクが期待される選手をピックアップする。

 ひとり目は京都サンガF.C.川崎颯太だ。久保(マジョルカ)と同じ2001年生まれの20歳は、京都の下部組織から20年にトップチームに昇格した。プロ1年目の昨年はシーズン終盤に出場機会を増やし、16試合でピッチに立った。

 そして迎えた今シーズンは、開幕からスタメンを確保する。4―1-2-3のシステムでアンカーを任され、ボール奪取能力を生かしてDFラインをサポートした。出場停止の1試合を除く40試合に出場しており、リーグ最少失点を記録している京都の守備に欠かせないひとりと言える。

 タックル数145回(40節終了時)はJ2リーグのトップで、J1リーグを見ても川崎を上回る選手はいない。J1とJ2の試合数の違いを見ても、川崎の数字は飛び抜けている。

 もちろん、タックル数だけですべてをはかることはできない。そのうえで言えば、ボール際での激しさを表わしているのは間違いなく、それは世界で戦うために不可欠なスキルだ。川崎のプレーはチョウ・キジェ監督が率いた湘南ベルマーレでデュエルを磨いた遠藤航齊藤未月を想起させる。

 攻撃面については、試合を重ねるごとに関わりを増やしている印象だ。ここぞという場面で相手ゴール前へ飛び出しており、15節のアルビレックス新潟戦ではJリーグ初得点となる右足ミドルを突き刺した。20節のファジアーノ岡山戦では中盤から持ち出してピーター・ウタカにボールをあずけ、リターンパスを受けて冷静にゴールへ流し込んでいる。さらに37節の大宮アルディージャ戦では、CKの流れからゴール前にとどまり決勝点をマークした。

 パリ五輪世代のボランチには、松岡大起清水エスパルス)、藤田譲瑠チマ徳島ヴォルティス)、田中聡(湘南)らが候補者にあげられる。いずれもデュエルに強いタイプであり、攻撃にどれだけ絡めるのかが競争の行方を左右しそうだ。

 京都が昇格を決めた直後、川崎は「日本で一番レベルの高いJ1で力を示すことが、代表や海外、W杯につながる。もっともっと高みを目ざしていきたい」と話した。世界基準を知るチョウ監督のもとで、伸び盛りの20歳は成長速度をあげていくだろう。

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