■冨安と同学年の左利きのCBとは?
ふたり目も京都から選びたい。98年7月生まれの麻田将吾だ。川崎と同じ京都の下部組織出身で、冨安健洋、上田綺世、田中碧らと同学年の23歳だ。
世界的にも希少な左利きのCBである。186センチのサイズも魅力的だ。
シーズン開幕当初はサブのひとりだったが、本多勇喜の負傷で7節から先発に名を連ねた。その後は出場停止の1試合を除いてピッチに立ち、ヨルディ・バイスとともに最終ライン中央を引き締めた。
京都は「どんな局面でも攻撃を意識する」ことを目ざし、両サイドバックも攻撃参加に意欲的だ。オフェンス時のリスクマネジメントにはアンカーの川崎らが気を配っているが、最終ラインで食い止める場面も出てくる。そのなかで、京都はリーグ最少失点を記録した。
36節の愛媛FC戦後には、チョウ監督がこう話している。
「GKの清水と中央の麻田とバイスは、今日はパーフェクトに近い出来でしたし、SBも含めて全体が相手に危険なスペースを与えない。少しピンチもありましたが、よく防いで勝点3を持ってこられたと思います」
18年と19年はカマタマーレ讃岐への期限付き移籍を経験し、19年はJ3が戦いの舞台だった。「プロの世界は厳しい」と実感する経験も経てトップ昇格5年目でついに定位置をつかみ、J1昇格に貢献した。
J2に馴染みのある左利きのCBと言えば、シュトゥットガルトへの完全移籍が確実視される伊藤がいる。日本代表では中山雄太が、存在感を強めている。いまはまだ彼らの背中を追いかける立場の麻田だが、潜在能力は高い。J1で揉まれることで、未来を切り開いていけるはずだ。