■山口、栃木はすでに安全圏内か

 J3降格圏の19位と勝点7差の山口は、J2残留争いから抜け出したように見える。数字上はかなり優位に立っているが、残り試合の対戦相手が不気味だ。39節で21位のギラヴァンツ北九州、40節で22位の松本、42節で20位の愛媛とJ3降格圏にある3チームとの直接対決を残しているのだ。

 直接対決が多いことをポジティブにとらえれば、山口は自分たちで下位チームを突き放せる立場にある。37節のFC琉球戦で名塚善寛監督の就任後初勝利をあげると、38節の大宮アルディージャ戦は終盤の得点で逆転勝利を収めた。34節の水戸ホーリーホック戦から5試合連続負けなしで、シーズン終盤にきて調子は上向きだ。残り4試合で大きく崩れるとは考えにくい。2試合連続で直接FKを決めている高井和馬の存在が頼もしい。

 15位の栃木SCも、大崩れはしないだろう。

 39節はJ1昇格争いに踏みとどまっているV・ファーレン長崎、40節は18位のツエーゲン金沢戦、41節は北九州と、緊張感のある試合が続く。しかし、直近の秋田戦で連敗を「2」で止めた。 

 CB柳育崇、FW矢野貴章豊田陽平らの空中戦に強い選手を揃え、リスタート一発で仕留めることができるのは栃木の強みだ。ロースコアの攻防に持ち込み、しぶとく勝点を奪っていく戦いはできており、降格圏に滑り落ちるとは考えにくい。

 勝点38で16位のザスパクサツ群馬も、リスタートを強みとする。全得点のほぼ半分はリスタートからなのだ。J2屈指のキッカー大前元紀を擁し、CBの畑尾大翔大武峻がパワフルな空中戦を演じる。

 対戦相手はどうか。39節がFC町田ゼルビア、40節がアルビレックス新潟、41節がジュビロ磐田、42節が大宮となっている。町田と新潟はJ1昇格争いから脱落したが、与しやすい相手ではない。磐田はJ1昇格と同時にJ2優勝をターゲットとしており、昇格を決めたあともペースを落とすことはないだろう。主砲ルキアンピーター・ウタカと得点王を争っており、彼にタイトルを獲らせるためにも全力で挑んでくる、とも考えられる。

 勝点41を残留当確のラインとすれば、群馬は1勝3敗でもOKだ。しかし、得失点差で山口、栃木、大宮、金沢、相模原に劣っている。得失点差の争いでは分が悪いだけに、勝点で余裕を持って安全圏に到達したいはずだ。

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