■混戦の残留争いから大宮が抜け出すか

 J2残留を巡るサバイバルは、苛酷さを増している。前節終了時点で14位の栃木が敗れ、最下位の愛媛FCが勝利したことで、実に9チームが勝ち点4差で争っているのだ。

 1節ごとに順位が変動するなかで、大宮アルディージャがジワジワと順位を上げている。栃木SCを3対1で退けて連勝とし、14位まで順位をあげてきたのだ。シーズン前半には最下位に沈んだチームは、霜田正浩監督のもとでついに地力を発揮してきた。

 この試合では相手のCK後のロングカウンターから先制点をあげ、2点目は練習どおりのパスワークで相手守備陣を攻略した。1点差に追いつめられた83分には、右CKからダメ押しの3点目を決めている。霜田監督は「相手があることなので、僕らがやりたことを毎試合できるとは思っていません」との前提に立ち、「自分たちのやりたいことができないときに、どうやって勝点3を取るのか」にこだわってきた。カウンターとCKを得点へ結びつけた戦いぶりは、チームの成長を実感できるものだっただろう。

 J3降格圏の19位とはわずかに勝点2差しかない一方で、大宮は13位のファジアーノ岡山に勝点5差まで近づいてきた。得失点差は岡山や12位のブラウブリッツ秋田とほぼ変わらず、総得点では2チームを大きく上回る。後ろを気にするのではなく「上を意識する段階」に、大宮は突入してきたのかもしれない。

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