■2強を追う甲府に35歳のベテランFW高崎が加入

 今節ではヴァンフォーレ甲府にも触れるべきだろう。

 7位の山形とのサバイバルマッチに2対0で勝利し、昇格圏との勝点差を「10」に縮めた。この試合で鳥海芳樹が決めた2点目は、10月の月間ベストゴールの有力な候補になるはずだ。

 センターサークル内で前を向いたプロ2年目の23歳は、まるでゴール前にいるかにように右足を振り抜く。力強い弧を描いたボールが、ポジションへ戻るGKビクトルの頭上を破ったのだった。「ルックアップしたときにGKが出ているのが分かって、味方の上がりもなくて、ボールを失うくらいならシュートを打とうと思いました」という50メートル超級のロングシュートである。

 2試合ぶりの勝利で勝点57とした甲府の伊藤彰監督は「残り10試合で勝点10差は、本当にギリギリだと思います」と話し、「1戦1戦、勝点3を取りきるゲームをやっていく」と、言葉に力を込める。

 チームは新戦力を迎えた。8月までサイゴンFC(ベトナム)に所属していたFW高崎寛之の加入が、10月1日に発表されたのだ。

 35歳のストライカーはJ1、J2、J3の複数クラブを渡り歩いてきたが、足跡が色濃いのはJ2だ。09年に水戸ホーリーホック(19点)で、16年(16点)と17年(19点)に松本で2ケタ得点をマークした。徳島と松本ではJ1昇格を経験している。

 甲府でプレーするのは12年以来9年ぶりとなる。3-4-2-1の1トップを務めることが予想される高崎は、「ラストスパートへ向け、ラストピースとして自分の力をすべて出して戦う」との決意を明かした。J1昇格へ負けられない戦いの続くチームに、持てる力のすべてを注いでいく。

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