■ベンゲル、ファーガソンの長期政権
横浜F・マリノスでは、Jリーグ史上2人目の珍しい監督交代があった。シーズン半ばでアンジェ・ポステコグルー監督がスコットランドの名門セルティックの監督就任を受諾、6月に辞任して、アカデミーダイレクターだった松永英機が代行に就任、横浜FMは1カ月以上たって7月18日にポステコグルーと同じオーストラリア人のケビン・マスカット新監督就任を発表した。ただ、入国日は未定で、入国後も一定の待機期間が必要になるので、指揮をとるのは8月中旬以降ということになる。
「史上2人目」というのは、Jリーグの監督から欧州のトップクラブの監督として引き抜かれる例で、1996年に名古屋グランパスのアーセン・ベンゲル監督がイングランドのアーセナルに引き抜かれて以来のことという意味である。ベンゲルはアーセナルの監督として歴史に残る功績を挙げ、2018年に引退するまで、実に22年間にわたって栄光に満ちた監督人生を送った。そしてその間に1235試合で指揮をとり、707勝280分け248敗という成績を残した。
イングランドには、このベンゲル以上の長期政権を誇る監督がいる。1986年から2013年まで27年間にもわたってマンチェスター・ユナイテッドの監督を務めたアレックス・ファーガソンである。彼はいくつかのスコットランド・クラブで成功を収め、スコットランド代表監督として1986年ワールドカップでチームを率いた後にマンチェスター・ユナイテッドからオファーを受けた。そして27年間でリーグ優勝13回、FAカップ優勝5回、UEFAチャンピオンズリーグ優勝2回、FIFAクラブワールドカップ優勝1回という、とてつもない功績を残すのである。マンチェスター・ユナイテッドでは、1500試合戦って895勝338分け267敗。「勝ち点率」は実に「67.1%」である。