■名将は石崎信弘、ネルシーニョ、ペトロヴィッチ、西野朗
Jリーグで最も数多くの試合で指揮をとっているのが、今季からJ3のカターレ富山を率いている石崎信弘監督である。1999年の大分トリニータに始まり、富山が9クラブ目。ことし5月30日の鳥取戦でJリーグ通算700試合という前人未到の大記録を達成した。1995年にJFLのNEC山形(翌年からモンテディオ山形)の指揮官となって監督人生をスタートさせ、Jリーグの成績だけでも、現時点で705試合。その内訳は、303勝148分け254敗。その試合の1つひとつに彼の魂が込められている。
Jリーグで最も経験が長い監督を挙げるなら、現在柏レイソルで指揮をとっているネルシーニョ監督だろう。彼は1994年夏にヴェルディ川崎(現在の東京ヴェルディ)の「特別コーチ」となって初めて日本で仕事をし、翌年から監督。1996年に「腐ったミカン」事件で日本代表監督になり損なった後、一時はブラジルに戻っていたが、2003年に名古屋グランパスの監督としてJリーグに復帰、以後、柏レイソル、ヴィッセル神戸、そして再度柏と、通算17シーズンにわたってJリーグで指揮をとっている。
コンサドーレ札幌で4シーズン目を迎えたミハイロ・ペトロヴィッチ監督は日本で16シーズン目である。2006年にサンフレッチェ広島にきて攻撃的なサッカーでセンセーションとなって11年まで指揮をとると、翌年には浦和レッズの監督となってこのクラブの「最も美しいサッカーの時代」を築いた。そして2017年シーズンの半ばで解任されたものの、翌2018年には札幌の監督に迎えられ、1部と2部を行ったりきたりしていたこのチームを1部の強豪に仕立て上げた。
「Jリーグで最も成功した監督」を挙げるなら、西野朗(現在タイ代表監督)ということになるだろう。1998年に柏レイソルの監督となって攻撃的なチームをつくり、2002年にはガンバ大阪の監督に転身。そこで実に10シーズンにわたって指揮をとり、J1優勝、AFCチャンピオンズリーグ優勝を飾った。その後はヴィッセル神戸と名古屋グランパスで指揮をとったが、いずれも成功はしなかった。それでも、J1で通算270勝(524試合)は、長谷川健太監督(清水エスパルス、ガンバ大阪、FC東京)の214勝、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督の211勝を大きく上回っている。