■田中碧から始まった数々の素晴らしい攻撃
その川崎に所属していた田中碧はフォルトゥナ・デュッセルドルフ移籍が決まったためACLには出場せずに代表合宿を前に休養を取ることができた。
田中は、中盤の深いところから前線に速くて正確なパスを供給して攻撃のスイッチを入れられる選手として大きく成長。Uー24代表ではアルゼンチンとの第2戦に出場して能力をいかんなく発揮してその地位を確立した(第1戦は出場停止)。
そして、J1リーグで首位を独走する川崎でも田中は欠かせぬ存在となっており、豊富な駒を駆使してターンオーバーをうまく使いながら戦う鬼木達監督も田中を欠場させることはほとんどなく、交代出場を含めれば田中はリーグ戦でほぼ出ずっぱりだった。
その影響で5月に入ると田中にはかなり疲労の色が見え、パフォーマンスが落ちる試合も見受けられた。あのまま、ACLを戦って即オリンピック本大会を戦いぬいたら大変な負担になるだろうと心配していたが、ACLを回避できたことでホンジュラス戦での田中は疲労から回復し、本来のパフォーマンスを発揮することができていた。
ホンジュラス戦の日本は前半の早い時間帯から攻勢を仕掛けていったが、その最初の攻めは時計のちょうど針が1分を回った頃、中盤の深い位置でパスを受けた田中が前を向いて前線にクサビを入れたところから始まった。パスは相手DFにカットされたのだが、このこぼれ球を田中が再び拾って右の酒井宏樹を使って展開を図った場面だ。22分に田中がトップにクサビを打ち込み、田中に近い位置にいた久保がスルーして、トップの林がワンタッチで回り込んだ久保にボールを預けた場面があった。3人の特徴がよく出た素晴らしい展開だった。残念ながらオフサイドの笛が鳴ってしまったが、田中の良さが前面にでたプレーだった。