■Jリーグが下した形式的な「処分」
旧聞に属する話かもしれないが、去る7月1日、Jリーグは浦和レッズに対して処分を行った。6月20日に埼玉スタジアムで行われたJ1リーグ第18節の湘南ベルマーレ戦に出場資格のない鈴木彩艶をGKとして出場させたことによる処分である。
U24日本代表の活動に参加していた鈴木はJリーグによる新型コロナウイルスの検査を受けておらず、その場合は代表活動中に日本サッカー協会が代表選手に対して行った検査結果(もちろん陰性)をJリーグに対して別途申請する必要があったのだが、浦和レッズ側がその手続きを怠っていたので同選手には出場資格がなかったというわけだ。
手続き的なミスだったこと、そして、クラブ側が自らミスを報告したことなどから「酌量すべき事情がある」として、鈴木に対しては処分はなく、クラブに譴責処分を科すとともに、当該試合(湘南戦)は0対3の敗戦としたのだ。
Jリーグの発表には「得点を3対0として負け試合扱いとする」とある。文字面はまがまがしい。浦和のサポーターでなくても何かかなり厳しい処分を受けたような気分になってしまう。
しかし、考えてみれば0対3の敗戦にされたとしても、浦和にとっては実質的に痛くも痒くもない処分だった。なぜなら、問題の湘南戦は2対3で浦和が負けていたからである。
勝利していた試合を負け扱いとされたら勝点3が減らされてしまう。そうなれば順位争いにも影響が出てくる。
だが、問題の試合は2対3で負けていたのだ。それが「0対3」にされたとしても、ただ得点数が「2」減っただけなのだ。実質的に影響が出るのは、全日程終了後に順位争いで得失点差が絡んできた場合のみなのだ。
しかも、当該試合での個人記録はそのまま残るということだから、この試合で2ゴールを決めたキャスパー・ユンカー選手にとっても実害はまったくなかった。
「処分」というのなら、現在浦和が持っている勝点から減点しなくてはおかしいのではないだろうか。まさか、Jリーグ側がその辺のことを勘案して「このへんが落としどころ」と考えたのではあるまいが、まあ、形式的なミスに対する処分はやはり形式的な処分だったということになる。