■小泉佳穂「すごく簡単なシュート」
試合は、神戸がボールを支配して始まった。初瀬亮と酒井高徳がサイドから攻め上がり、中央では山口やイニエスタ、郷家、佐々木らがボールを交換して浦和の守備陣を包囲した。浦和は攻撃に出ようと試みたが、パスはつながらずに前進はいずれも単発。厳しい時間帯は続いた。
浦和は今季から4-2-3-1の並びでボールをつないでビルドアップする形を採用しているが、前回対戦に続いてそれが駒場のピッチでも封じられたのだ。
それでも、進化を続けるリカルド・レッズには「プランB」があった。それがカウンターだ。神戸は人数をかけてボールを支配しようとするが、その分、裏には広大なスペースができる。そこを利用したのが、16分の得点シーン。
ユンカーと小泉がうまく抜け出すと2人の前で進撃を遮るのはGK前川黛也ただ一人。ユンカーは前川を十分に引き付けると、右にいた小泉にパス。試合後に「すごく簡単なシュート」と言い切った小泉は、これを決めてリードをさらに広げた。
この試合で、浦和はカウンターをたびたび発動させた。ユンカーや小泉はその起点や受け手となって、しっかりと機能した。ボール保持にこだわっていたら、このカウンターは鋭利さを欠いていただろう。しかし、この試合で殊勲の2人は見事にそこを判断してみせた。何度かそのチャンスをつぶしてしまった選手もいた中で、ゴールとアシスト以上に大きな働きだった。