■頻発した両サイドからのクロス
同点に追いつかれたことを考えれば、三笘はもう少し引っ張ると思われた。5月12日の仙台戦(△)では、連戦にもかかわらず三笘をピッチに立たせ続け、結局はフル出場となっている。
そうでなくても、今季の三笘にとって64分という数字は、リーグ戦で先発した試合では最も短い数字だ。そうしたことを考えれば、予想を裏切る早い交代だった。
たしかに、鹿島の右サイドバックで売り出し中のDF常本佳吾が粘り強く対応したこともあって、背番号18はいつものようなペースではチャンスを生み出すことができなかった。それでも、これまで何度もそのドリブルがチームを苦境から救ってきた。しかし、そこには鬼木監督の「策」があった。
長谷川竜也は必ずしも縦に突破に行かなかった。その目的は、クロスを上げることだ。67分に逆サイドへのクロスから家長がシュート。74分には、その長谷川のポジションに流れた家長のクロスからチャンスを作る。その直前には、右からの旗手のクロスがダミアンの決定機になっていた。鹿島に対してクロスからチャンスを作っていったのだ。
その後も、78分に旗手の右クロス、80分に長谷川のファーへのクロス、84分には山根視来の右クロス、87分に長谷川が切り返しての左クロス、89分に家長が左クロス。そして93分の長谷川の切り替えしてのクロスが決勝弾につながる。入ったばかりの小林悠がクロスのこぼれを回収し、勝ち越しゴールとしてネットを揺らしたのだ。