■勝ちたかった王者との試合

 試合を振り出しに戻した仙台は、がぜん勢いづく。しかし、今季無敗でJ1を独走する川崎は、勝利のためになりふり構わぬカードを切る。川崎の心臓である田中碧と小林悠を下げて、遠野大弥と連戦続きのチーム得点王レアンドロ・ダミアンを投入したのだ。攻撃的なカードを切って流れを取り戻そうとし、実際、その遠野のスルーパスに反応した三笘が勝ち越し弾をゲット。再び川崎が試合をリードする。そればかりか、得点直後には今日は休養のはずだったDFジェジエウを入れて逃げ切ろうとまでしてみせた。

 それでも、この日の仙台はここから意地を見せた。富田晋伍に代えてマルティノスをピッチに送り込む攻撃的な姿勢に出ると、後半アディショナルタイムにそのマルティノスがスーペルゴラッソを決めて見せたのだ。これで試合はまたしてもイーブンに。仙台はその前後に川崎ゴールに猛攻を浴びせるが、終盤に奪えたのは結局1点だけ。多くのチャンスを手にしながら、引き分けに終わってしまったのだ。

 仙台としては、勝ちたかったゲームだった。それでも、自信になる引き分けである。敵地で2度リードされながら、王者に肉迫してみせたのだから。そんなゲームの転換点は、まさしく後半の飲水タイムだった。

 1-5で負けた相手に、2か月をへて2-2に持ち込んだ仙台は、間違いなくチームに戦術が浸透している。この試合でも、狙いを見せた攻撃がいくつか見えた。


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