■後半の飲水タイムがポイントに

 それでも前半は粘り強く戦って1点ビハインドのまま後半を迎えた。後半アタマから、仙台は選手を2人入れ替え、蜂須賀孝治とフォギーニョを下げてシマオ・マテと気田亮真を投入した。それとともに、前半はセンターバックだった照山颯人を左サイドバックに移し、さらに前半は2列目の右に入っていた中原彰吾をボランチに移した。王者に失点を許したことで、より攻撃的なメンバー構成にしたのだ。

 しかし、試合の流れは変わらない。前半同様に川崎がボールを保持し、仙台が粘り強く戦う場面が続いた。仙台は攻撃に出たいが、この日の川崎は守備の局面でいつも以上に声が出ており、「そこフリックされるよ」「右に出す(はずだ)よ」と、仙台がボールを回そうとするたびに読まれては刈り取られていったのだ。

 その流れを変えたのが、後半の飲水タイムだ。昨年と違って今年の仙台は飲水タイムの際に全員がベンチに戻って水分を補給する。この試合の後半のその時間に、原崎政人コーチが細かく指示を出したのだ。特に身振り手振りを交えて話しをしたのが中原彰吾だった。その18番が、直後に輝く。

 きっかけは、気田のドリブルだ。仙台のゴールキックをFW皆川佑介が競ると、ボールは気田の元に降りる。その途端、このドリブラーは得意の足技を披露。川崎の谷口彰悟車屋紳太郎のセンターバックコンビを含む4人が寄せる状況で力強く前進すると、そのままシュート。GK丹野研太に弾かれるも、そのこぼれに詰めたのが中原だった。王者のゴールに冷静に流し込んで、試合をイーブンに戻してみせた。飲水タイムからわずか5分後のことだった。

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