■過密日程の昨季に全試合フル出場の4人の選手

 そんな直接対決には見どころがいくつもあるが、あえて3つに絞って紹介したい。

 まずは、「サイドの攻防」だ。名古屋の堅守を支えるのは、全員の守備意識の高さであることは言うまでもないが、特に、GK+CB+守備的MFという後方中央の5人の危機察知能力によるところが大きい。丸山祐市中谷進之介というセンターバックコンビに、米本拓司稲垣祥のボランチコンビが、ゴール前に鉄壁を築く。この4人のうち2人が先日の試合で日本代表に選出されたことも、その堅守が評価されている証だ。それを破っても、ランゲラックという国内屈指の守護神が立ちはだかる。

 名古屋の堅守は昨季から続くもので、2020年シーズンは34試合で28失点とリーグ最少。このシーズンは異例の過密日程でありながら、ランゲラック、丸山祐市、中谷進之介はなんと全試合フル出場(3060分)。それに続く稲垣祥は3036分。この4人に、2102分出場の米本を加えた5人が、いかにマッシモ・フィッカデンティ監督の信頼が厚かったか分かるだろう。堅守を体現するといえるこの5人がいる中央は、名古屋の“スペシャル・エリア”だ。

 そうなると、川崎の攻撃も中央をこじ開けるのは困難な作業となるが、そもそも川崎をピッチで凶暴な存在たらしめるのは、両ウイングに構える“スペシャルワン”とそれを支える“スペシャルサイドバック”だ。右ウイングの家長昭博、左ウイングの三笘薫は、国内屈指のアタッカー。ただし、それぞれプレースタイルは全く異なる。

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