■拮抗した試合の中、セットプレーが命運を握る

 試合が動いたのは後半15分だった。浦和が左CKを獲得すると、キッカーのMF小泉佳穂がショートコーナーでDF山中亮輔につなぐ。山中がアウトスイングのクロスを送ると、ペナルティエリアの中央で相手のマークを外したMF関根貴大がヘディングでゴールに押し込み、浦和がセットプレーから先制に成功した。

 その後は、徳島も反撃を試みるものの、浦和は集中を切らさずに、相手の得点を許さない。守備面でも連携して、安定感を見せていた。結局、関根のゴールが決勝点になり、浦和が1-0で勝利。リカルド監督の古巣対決を制し、3連勝を飾った。浦和の3連勝は、2019年4月以来。2シーズンぶりとなる久々の3連勝で、勝ち点を14に伸ばし、順位も9位に浮上した。

 浦和は、第6節の川崎戦まで3得点のみにとどまっていた。しかも、すべてがPKやセットプレーによるもので、「流れからのゴールを決めたい」というのが選手たちの合言葉のようになっていた。直近の2試合では、セットプレー以外でのゴールにこだわり、実際に複数得点で勝利し、結果も残している。

 しかし、今節のような両者の狙いが類似する一戦では、自分たちのスタイルを貫けないこともある。実際に今節でも相手に上回られる時間帯が多くあった。流れからのゴールを目指しつつも、臨機応変にプレーをしながら、時にはこだわりを捨てる。そんな潔さを垣間見ることができ、チームの成長度は増しているように感じる。

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