■ベテラン・西大伍の戦術眼が状況を一気に打開!

 前半はほとんどの時間を守備に強いられた浦和だったが、前半終了間際の42分頃の場面だった。逼迫した状況を打開しようと、右SBで先発したDFの西大伍が高い位置を取る。2月から調整が続いた西は、開幕戦に間に合わず、第7節の鹿島戦で移籍後リーグ戦初スタメンとなった。西の戦列復帰によって右サイドからの攻撃が一気に活性化した印象で、その鹿島戦から浦和は好調を維持している。直近の連勝を打ち立てたキーパーソンだ。

 前半43分、その西が高い位置で右からクロスを送ると、これに武藤が頭で合わせる。しかし、これは惜しくもクロスバーを直撃。

 その決定機のあとも、西はそのままポジションを下げなかった。右CBの岩波拓也に「そんなに(最終ラインを)下げる必要はない」というようなジェスチャーを送りながら、右サイドで積極的にボール受けようとを要求する。ボランチの伊藤が少し落ちた位置にいたところを見逃さず、自分が高い位置にいることで全体の攻守のバランスを取ろうと判断した。

 西が指示を出しながら、浦和は右サイドで連動してボールを動かし、前半終了間際は浦和が攻勢に出る。相手に寄せられて狭くなったスペースでも、パスを細かくつなぐ技術はさすがベテランといったところ。味方同士との距離間も絶妙で、ボールだけではなく、人も動かしながら、攻撃を仕掛けようと試みる。今シーズンから加入した選手とは思えないほどの安定ぶりだった。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5