■「かつてつきあっていた“彼女”のことを知ろうと思わないのは当然のこと」

 自己否定を覚悟した鹿島と、ミステリーを整理しなくて良いザーゴ。両者がともに歩んだ2020年シーズンは、徐々に歯車がかみ合い、5位でフィニッシュした。だから、2年目のシーズンに期待を大きく抱くのは自然なことだ。しかし、ここまで8戦して2勝2分4敗。順位は15位。目標としていた首位からは遠い。よくいえば“鹿島らしいスロースタート”で、悪くいえば“積み上げなきスタート”だった。

 ただ、その勝てなさに、「鹿島らしさがなかった」といわれる。とはいえ、鹿島はそれをなくしてでも、変革を求めていた。まさか、“元カレの良いところはそのままに、別な良い部分だけ積み上げて”などという都合のいい恋愛があるわけがない。

 今年、セレッソ大阪の指揮官に再就任したレヴィー・クルピ監督が、昨年までセレッソを率いていたロティーナ監督が指揮を執る清水エスパルスとの対戦前に、こう話していたのを思い出した。

「“元カノ”ではないが、かつてつきあっていた“彼女”のことを知ろうと思わないのは当然のこと」

 鹿島が新たに監督としたのは、相馬直樹だ。ある意味、“昔の男”に戻ったことになる。出血を押さえるために、内情をよく知る人物にしたと言えば聞こえはいいが、現実的には過去を求めたことになる。“相馬アントラーズ”が、逆襲に転じるかどうかはまだ分からない。肯定する要素も否定する要素もある。

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