■川崎にピッタリの遠野大弥のプレースタイル

 このボールを、遠野はトラップしきれず流してしまい、相手ディフェンダーに奪われそうになったものの、すぐにシュートモーションに移る。そして体を倒しながら、相手ディフェンダーのクリアしようとする足をかいくぐってゴールネットを揺らしたのだ。

 ゴールを決めた遠野は、ベンチにいた脇坂に一直線に走り寄って喜びを爆発させた。谷口やジェジエウも遠野を祝福しにベンチに駆け寄っていることが、ここまでの65分間の苦しみを如実に表していた。「1試合3得点」という川崎の目標には遠い最少得点ではあるが、遠野の“等々力初ゴール”を川崎が残り25分間守り切り、見事白星を掴んだ。

 遠野は1999年生まれの21歳。2017年にJFLのHonda FCに加入すると、3シーズンを過ごしたJFLで62試合18得点を記録した。そして2020年に川崎フロンターレに完全移籍。ただし、2020年は川崎でプレーすることはなくJ2福岡にレンタル移籍し、経験を積んだ。昨年の成績は41試合11得点だった。

 今季、満を持して川崎に復帰し、チームの公式戦4試合目のアウェイベガルタ仙台戦で初めて先発の座を掴み、得点を決めていた。

 遠野の武器は、ボールを受ける際のポジショニング、そしてボールを受けてからの素早い持ち出し、そして、運動量とフィニッシュへ絡む動き。パスサッカーを志向する川崎に、ピッタリの選手で、本来は前線の選手だが、この試合のようにインサイドハーフでプレーできる器用さも持つ。

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