コロナ禍の終息はまだ遠そうだが、2021年、29シーズン目のJリーグが2月26日に開幕する。黄金時代を迎えた川崎フロンターレが2回目の連覇を遂げるのか。それとも、2019年にアジアを驚かせたポステコグルー率いる横浜F・マリノスの攻撃サッカーが復活するのか。1年をチーム作りに費やしてきたザーゴ監督の鹿島アントラーズがいよいよその真価を発揮するのか。目が離せないシーズンを、優勝争いを中心に展望する。
■2021年の軸は誰が川崎フロンターレを倒すのか
新しいシーズンの開幕を前に、どうしても“新しい選手”、“新しい監督”、“新しいチーム”のことを考えてしまう。それが、人情というものだろう。
だが、今シーズンの順位予想を冷静に考えれば、まずメインテーマとなるのは「川崎フロンターレの連覇」であるはずだ。
なにしろ、昨年の川崎の強さは尋常なものではなかった。
26勝5分3敗。34試合での得点は88。つまり、ほぼ平均「3」に近い数字で、2位に着けたガンバ大阪の得点数(46)のほぼ2倍。そして、失点も31と、名古屋グランパスに次ぐ2番目に少ない数字だった。攻撃的なチームは(一昨年の横浜F・マリノスのように)どうしても守備に弱点があるものだが、昨シーズンの川崎は前線からのプレッシャーをまじえての守備も実に素晴らしかった。
強さを印象付けたのは、2位のガンバ大阪と対戦した11月25日の第29節。守備が強い(はずの)G大阪相手に5対0と圧勝して、ライバルの目の前で優勝を決定して見せたのである。サイドからのクロス、セットプレー、縦パス、カウンターと5つのゴールのパターンも実に多彩だった。
川崎とG大阪は元日の天皇杯決勝でも再び顔を合わせ、スコア上では0対1と接戦で、試合終了間際にはG大阪に同点のチャンスもあったが、試合内容は一方的で川崎は27本ものシュートを浴びせ続けたのだ。
■川崎フロンターレの今年の課題は世界への挑戦
昨年、川崎が圧勝したのにはいくつかの要因がある。
たとえば、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって暑さの中での超過密日程となったこと。そのため、人よりもボールを動かす川崎のプレースタイルが有利に働いたし、川崎の選手層の厚さも過密日程を乗り越えるのに欠かせないものだった。また、その選手層の厚さがあったからこそ、5人交代制をうまく利用できたという側面もある。
2021年シーズンは、例年通りの日程となる(今後、感染症流行が再拡大したりしなければ、ではあるが)。
つまり、昨シーズン、川崎に有利に働いたファクターのいくつかがなくなるわけだ。さらに、今シーズンの川崎にはACLというもう一つの戦いも控えている。