ここ数年、国内では最強の座をほしいままにしていた川崎だが、これまでACLでは好成績を残していない。いや、比較的早い段階で敗れてACLの負担から解放されたことで連覇を果たしたようなシーズンもあった。
だが、川崎にはACLでも結果を出してほしい。何よりも、正確なパスをつなぎつづける高度な技術を駆使した川崎のサッカーをアジアの人に見てほしいし、その後、今年は日本で開催されることが決まっているFIFAクラブ・ワールドカップの場で、世界のトップ相手に川崎のサッカーがどこまで通用するのか、挑戦する姿を見せてほしい。
そのACLでの戦いが、リーグ戦のパフォーマンスにどこまで影響するのか。これが、新シーズンに向けての川崎の最大の懸念材料ということになるだろう。
だから、川崎が昨シーズンほどの圧倒的な成績を残すことは難しいのかもしれない。
とくに、Jリーグというリーグは、相手のことを研究して相手の良さを消すような戦術的サッカーを仕掛けてくるチームが多い。だから、このリーグでは「連覇」は非常に難しいことなのだ。
従って、今シーズンの川崎が昨年のような圧倒的な数字で優勝することは難しいだろう。
■過密スケジュールをどう乗り切るのか
だが、それでも僕は川崎が最も優勝に近いと思う。
まず、「選手層の厚さ」はどんな日程になろうとも有利な条件であることに変わりはない。昨年ほどの過密日程ではないにしても、今シーズンは例年の34節ではなく38節の長丁場となるわけだし、春秋制のJリーグでは日本の真夏の酷暑を乗り切る必要がある。
そうしたことを考えると、川崎のプレースタイルや選手層の厚さはやはり大きなアドバンテージと考えるべきだろう。そして、今シーズンも5人交代制は継続される。
ACLの負担は、たしかに不安な材料ではある。だが、そこでも川崎の選手層の厚さが突破口になるのではないだろうか。
また、ACLは例年のようなホーム&アウェーでのグループステージは不可能で、今シーズンも4月後半から5月にかけてセントラル方式で行われることとなっている(開催地は未定)。そして、その間のJリーグの日程が、他の時期に分散されることによって、ACL参加クラブはミッドウィーク開催が増えて連戦が多くなる。
しかし、ACLが例年のようにホーム&アウェーで行われると、3週か4週に一度の海外遠征を強いられるわけで、それよりもACLが集中開催となれば他の時期は海外遠征を強いられなくなるのだ。国内でのミッドウィーク開催が増えても、国内での移動だけであれば、YBCルヴァンカップに出場しているチームと比べて大きなハンディにはならない。
4〜5月のACLのグループステージとその前後の時期をうまく乗り切れば(あるいは、その前のスタートダッシュに成功すれば)、ACLの負担は例年より少ないのではないか。