●DF マテイ・ヨニッチセレッソ大阪/6試合)

 ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督の組織的な守備戦術が浸透して躍進したセレッソ大阪から、その守備のリーダーとして安定感抜群のプレーを見せたヨニッチを選出。瀬古歩夢レアンドロ・デサバト藤田直之との連携で中央のスペースを空けないポジショニングを徹底した。

 全体での守備が堅いものになったことで、これまでのようにわかりやすく目立つ場面は少なくなったが、空中戦以外での守備でもセレッソの壁であり続け、ビルドアップやフィードでも安定していた。

 ロティーナ監督の退任が発表され、来季は攻撃的なチーム作りをすることになるかもしれないが、ようやく完成した守備の名残をどれだけ残せるのかも来季の順位に大きく影響するはずだ。それでも、そこにヨニッチがいる限り、相手はセレッソに手を焼くだろう。

●DF 山根視来川崎フロンターレ/7試合)

 エウシーニョがいなくなってから固定できなかった右サイドバックに山根がはまったことは、今季の川崎の独走に欠かせない要素だった。実は右サイドバックを務めるのは川崎に来てから初めて経験することだった。湘南では右のセンターバックとして経験を積んでいたのだが、湘南ならではの思い切りの良い攻め上がりや得点力はそのままサイドバックとして活かされた。

 家長昭博との抜群の連携で右サイドを支配することで、ペースチェンジや多彩な崩し方で相手を翻弄するだけでなく、流れを渡さない役割を果たした。

 単独では、個人技に優れる名古屋のマテウスを抑え切り、鹿島のエヴェラウドへのロングボールをカットする。そんな1vs1の守備を任せられるサイドバックの存在は、守備時には他の選手が正しいポジションで進めることができることに繋がった。また、レオ・シルバ相手にもボールを失わないように、攻撃時にそこで攻守が突然入れ替わってしまう心配もない。だからフォワードだけではなく中盤の選手も、安心してゴールを陥れるために動くことに集中できる。

PHOTO GALLERY 2020年「J1ベストイレブン」GK・DF編はこの4人
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