■3月6日/J1第2節 ベガルタ仙台―川崎フロンターレ(ユアスタ)
試合開始前に発表されたスターティングメンバーを見て、鳥肌が立った。そこに、富田晋伍の名前があったからだ。大きな負傷で戦列を離れていた富田は、3月3日のルヴァンカップで1年半ぶりに復帰したばかり。452日ぶりの試合で45分間しか出場しなかった選手を、手倉森誠監督はこの大事な試合で起用してきた。
「狙い」が10年前の再現にあるだろうことは、すぐに感じられた。2011年の東日本大震災で中断したJリーグ。その再開試合が、川崎戦だった。その激戦を制した逆転勝ちは、被災地に希望の光を与えた。スポーツの力を、ベガルタ仙台の力を、あの時ほど認識したことはない。
プロサッカー選手における10年は、とても長い。だから、2011年の川崎戦で試合に出たメンバーで今も仙台にいる選手は2人しかいない。それが富田であり、関口訓充だ。10年の時を超えて、2人がピッチに立つ。それは、チームに対して、そしてサポーターに対して「勝利を再現する」という強い意志を感じさせるものだった。