■渡井は存在感を高め、藤本は海を渡る
10節終了時点で暫定3位の徳島では、プロ3年目の渡井理己も存在感を強めている。2試合連続3試合目の先発となった長崎戦では、垣田の先制点をアシストし、自らもシーズン3得点目となるドリブルシュートを決めている。2対0で迎えた56分、自陣センターサークル付近からボールを持ち出し、そのままペナルティエリア内まで運んで右足で同サイドを撃ち抜いた。
「自分で勝負しきれないシーンがずっとあったので、垣田選手がランニングをしてくれたのも見えていたんですけど、個人的にあの場面は勝負しようと思いました」
昨シーズンも29試合出場で6得点の成績を残している。プロ2年目としては悪くない。野村直輝(現大分トリニータ)や杉本竜士(現横浜FC)が抜けた今シーズンは、背番号を16から10に変えた。3年目の飛躍を、クラブからも期待されている。
1999年7月生まれの21歳は、GK大迫敬介(サンフレッチェ広島)、橋岡大樹(浦和レッズ)らと同学年だ。学年はひとつ上になるが、安部裕葵(バルセロナ)や齋藤未月(湘南ベルマーレ)らも99年生まれである。
来夏に開催予定の東京五輪は、18人でチームが編成される。どのポジションも激戦区だ。垣田も渡井も森保監督から招集を受けたことはなく、現時点での序列は率直に言って低い。
だが、五輪まではおよそ1年ある。成長スピードの速い年齢でもある。いまはまだ無印の選手が一気に脚光を浴びるのに、十分な時間が残されていると言っていい。
J2から海を渡る東京五輪世代もいる。東京ヴェルディの藤本寛也だ。ポルトガル1部のジル・ヴィセンテへの期限付き移籍が発表されている。期間は8月9日から21年5月31日までだ。
藤本の新天地は、昨シーズンのポルトガル1部リーグを10位でフィニッシュした。国内メジャータイトルの獲得はなく、1部定着がターゲットなる規模のクラブだ。
新シーズンは9月20日に開幕する。世代を代表する21歳のレフティーは、ポルトガルでスケールアップを期す。