■徳島は外国人選手に頼らない
5位の磐田が4位の徳島をホームに迎えた一戦は、徳島が2対0で勝利を飾った。
キックオフ早々の7分、デザインされたCKから清武功睴がヘディングシュートを決める。22分には相手のハンドでPKを獲得し、キャプテンの岩尾憲が右足できっちり流し込んだ。
シュート数ではホームチームが上回った。磐田の16本に対して、徳島は5本にとどまっている。ボール支配率でも劣った。「守備の時間帯が長く、ボールを握る時間帯は少なかった」とは、試合後のリカルド・ロドリゲス監督である。同時に、スペイン人指揮官は「そういう時間帯もある。終盤は耐える時間が長くなったが、2点差を生かしながら良い試合運びができた」とも付け加えた。
7節終了時点で首位の長崎、2位の大宮アルディージャ、4位のアビスパ福岡、5位のアルビレックス新潟らは、外国人選手が常時ピッチに立っている。6位のヴァンフォーレ甲府、7位の京都、10位の磐田らも同様だ。
得点ランキングの上位にも、外国人選手の名前が並ぶ。ピーター・ウタカ(京都)、ファビオ(新潟)、ルカオ(ツエーゲン金沢)、ドゥドゥ、ジュニオール・バホス(いずれも甲府)、ルキアン(磐田)、イウリ(レノファ山口)らが、それぞれ得点源なっている。
そうした状況に照らすと、3位の徳島は異質だ。
DFのドゥシャンとジエゴを抱えているが、再開後はどちらも出場していない。日本人選手のみのチーム編成で、3勝1分1敗の成績を残しているのだ。同じように外国人選手を起用していないチームはあるが、上位に食い込んでいるのは徳島だけである。
外国人選手に頼らない戦いは、継続性を土台としている。J1昇格プレーオフでJ1湘南ベルマーレとの最終決戦まで勝ち上がった昨シーズンのメンバーから、GK梶川裕嗣(横浜F・マリノス)、CBヨルディ・バイス(京都)、MF野村直輝(大分トリニータ)らの主力を失ったものの、チームの軸はブレていない。4年目を迎えたロドリゲス監督のもとで、攻守において一人ひとりのタスクが整理されているのだ。
栃木SCから完全移籍した西谷和希、名古屋グランパスから期限付き移籍の杉森孝起、鹿島アントラーズ所属で昨シーズンまで金沢に在籍した垣田裕睴らの新加入選手は、2月の開幕時点ですでにスタメン起用されていた。選手が入れ替わってもチームの基本コンセプトは変わらず、ポジションごとの役割がはっきりしているからなのだろう。
磐田戦では相手が中央を締めたら両サイドを使い、前からハメようとしてきたら最前線の垣田裕睴へロングボールを預けた。ロドリゲス監督は3バックと4バックを使い分け、試合中にもシステムを変更するが、選手の立ち位置が変わることによる混乱は見当たらない。選手が入れ替わっても、クオリティを保つこともできている。
個の力が際立つ外国人選手がいないなかでも、ここまで7試合でリーグ最多の16得点を記録している。主力の長期離脱といったアクシデントに見舞われない限り、徳島は上位をキープしていきそうだ。