■小林監督の千葉は戦術的柔軟性が高い
スーパーカップの翌12日には、第27回ちばぎんカップが開催された。J1の柏レイソルと、J2のジェフユナイテッド千葉が対戦する恒例の一戦である。
甲府と同様に千葉も、新たな指揮官のもとで23年のシーズンを迎える。ユン・ジョンファン前監督のもとでヘッドコーチを務めた小林慶行監督が、チームの先頭に立つ。
レイソル戦は3-4-2-1で戦った。ユン前監督の指揮下と同じだが、流動性が一気に増した。4バックにもなる可変の性格を持つ。
そのうえで、小林監督は「戦術以前にチームの土台としなければならないこと」を選手に求める。「チャレンジする、相手より走る、目の前のバトルに勝つ」といったものだ。
3対2で勝利した柏戦では、「今シーズンの始動のところから、チームとして求めてきたものが表現できたと思います。今日こういうゲームができたことは、すごく大きな自信になります」と、チームのパフォーマンスを評価した。
2シャドーの一角を基本としつつ、臨機応変にポジションを取ってボールを出し入れした田口泰士も、「まずは走ること、切り替えのスピードと強度は始動からキャンプを通して意識づけられましたし、みんなが意識してやっていることなので、いい形で表現できたんじゃないかと思います」と話している。
レイソル戦は前半を2対1で折り返し、後半開始直後の51分に同点とされたものの、FW呉屋大翔の決勝弾でレイソルを振り切った。3バックの中央を任された新井一耀は、「我慢しなければいけない時間帯で失点してしまったんですが、そのあとズルズル押し込まれずに巻き返せたのは収穫だったかなと」と分析した。
GK新井章太、CB鈴木大輔、新井一耀、アンカーの熊谷アンドリュー、2シャドーの田口ら、センターラインは昨シーズンと変わらない。そのうえで、新戦力がチームを底上げしている。
大卒ルーキーの小森飛絢は先制点をあげ、大分トリニータから加入の呉屋が2得点を記録した。トップチーム昇格1年目の矢口駿太郎は左ワイドで先発した。ツエーゲン金沢から移籍してきた松田陸も、3バックの右サイドを担った。
「監督は始動から競争心を持ってやってくれと言っていて、そこを一人ひとりがもっと意識してやったら、もっともっとチーム力は上がると思う。そこはやっていきたいですね」と田口は話す。
チームの課題ははっきりしている。得点力だ。昨シーズンの44得点から、どこまで積み上げられるか。19年のJ2で22ゴールを叩き出した呉屋、昨シーズン5得点のブワニカ啓太らの爆発が期待される。