■大宮を襲った「想定外のアクシデント」!
J2リーグ第6節に行なわれた11試合では、大宮アルディージャ対ファジアーノ岡山にも触れるべきだろう。
NACK5スタジアムを舞台とした一戦は、大宮が13分にMF矢島慎也のゴールで先制する。ここまで2分3敗と勝利のないホームチームは、岡山の攻撃をギリギリでしのぎながらハーフタイムを迎えた。
ここでアクシデントが明らかになる。前半の決定機阻止でGK南雄太が負傷し、交代を余儀なくされたのだ。
後半開始から上田智輝が出場するが、61分にピッチに倒れ込む。キックをした際に足を滑らせ、起き上がることができない。2つ目のアクシデントが発生した。
2人のGKが負傷する緊急事態に、霜田正浩監督はCBの栗本広輝をGKに指名する。背番号20を着ける31歳はJFLの本田で2013年から18年までプレーし、その後アメリカの複数クラブでプレーしてきた。CB不足の編成からプレシーズン途中で加入し、この日が大宮でのデビュー戦にしてJリーグデビュー戦だった。
試合が再開されたのは67分だった。上田の負傷でプレーが止まっていた時間を考慮すると、アディショナルタイムも含めて30分以上は栗本がゴールマウスに立つ。霜田監督は4-2-1-3だったシステムを5-4-1に変更した。「完全に守備的にいくわけではないが、みんなでクリ(栗本)を守るということで5バックにしました」と話す。180センチを超える西村慧祐、田代真一、山田将之を中央に並べ、ロングスローを含めてリスタートに強い相手の攻撃に備えた。
ここから先は耐える時間が続いた。相手にクロスを入れさせないように、ボールの出どころへプレッシャーをかける。ゴール前へ入ってきたクロスは、全員で跳ね返した。岡山の長身CBの柳育崇がゴール前に入ってくると、山田が多くのシーンで空中戦を制した。シュートを打たれたら、誰もが身体を投げ出してブロックした。栗本の守備機会を可能な限り減らし、大宮は耐え続ける。