「7試合の9月」を乗り切れば空前絶後の「4冠」も見える【川崎フロンターレの正念場】(2)の画像
負傷退場する川崎CBの柱ジェジエウ 撮影:原悦生

悪い予感などまったくなかった。すべては順風満帆のように見えた。鬼木達監督の就任以来、4シーズンで3度のJリーグ優勝を遂げている川崎フロンターレ。今シーズンもその破壊的な攻撃力で他クラブを圧倒し、優勝への最短距離をハイスピードで駆けていた。ところが東京オリンピックの中断期間が明けると、川崎の前には暗雲が立ち込めていた。いったい何が起こっているのか。再び快進撃を再開することができるのか。フロンターレの明日はどっちだ。

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 川崎を襲う懸念は「CB問題」だけではない。この夏、ともに川崎の下部組織育ちのMF田中碧三笘薫という期待の若手がともに欧州のクラブに移籍、大きな戦力ダウンになるのではないかと心配された。

 ただ、川崎には攻撃陣のタレントはあふれるほどいる。MFシミッチと脇坂泰斗が元気なうえに、鬼木監督は、三笘が抜けた左MFのポジションに川崎ユース出身、20歳の宮城天をデビューさせて衝撃を与えた。田中の穴も、MF旗手怜央、MF遠野大弥、MF橘田健人、MF小塚和季といったタレントを埋め込んでレベルを落とさなかった。8月にはいってから、中国の重慶でプレーしていたブラジル人FWのマルシーニョ(左右のウイングでプレー)の補強にも成功した。川崎のサッカーに慣れるのには少し時間が必要かもしれないが、急ぐ必要はない。

 しかし福岡戦で東京オリンピックでも活躍した旗手が負傷、それを追うようにCBの2人が負傷して、いま、チームのバランスを取るのが非常に難しい状態にある。

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