■エアポケットが生じてしまった115分の失点
そういったスペインの攻撃にも、要所を締めた守備はかなりの時間帯でできていました。リズムも含め、守る道筋はできていました。
そう考えると、ポイントは攻撃でした。ボールを保持する時間が増やせないのなら、より効果的なカウンターを仕掛けたかったのですが、自陣深くから出ていくのは大変な作業だったと思います。
というのも、スペインは守備もうまかった。要所の1対1に強かったですね。後半終了間際に堂安律を故意に引っ張って止めたイエローカードもそうですが、累積警告は準々決勝で清算されているので、危ないところはカードをもらってでも止めてきました。決して良くないプレーではありますが、そういう判断も巧みでした。
日本も要所の1対1で負けなかったからあそこまで粘ることができ、1対1で負けても周りがカバーしていた。最終ラインとボランチのコンパクトさがありました。苦しい試合展開でしたが、それについては選手たちもかなりの手応えがあったはずです。
延長に入ってからはかなりの回数のカウンターを、とくに相馬勇紀のサイドから繰り出せていました。そこで得点できれば、現状を考えたうえでプランどおりの結果を残して、決勝へ行けたかもしれません。
だからこそ、115分の失点が惜しかった。
オヤルサバルにゴールエリアまでボールを運ばれて、あわや失点のシーンで板倉滉がブロックして中山が蹴り出した。スペインのスローインになったのですが、大きなピンチを切り抜けたので、直後にエアポケットが生じてしまったと感じました。
スローインをオヤルサバルが受け、中山と田中の間をアセンシオにつながれて左足を振られたのですが、この場面では板倉が足を出せなかった。それまではシュートシーンで完璧にブロックをしていた板倉ですが、あの失点シーンだけは足を出せるコースのシュートではなかったのです。左利きのアセンシオからすれば、内巻きの軌道で左スミへ持っていくのは得意のコースでしたから、悔やまれる失点になりました。