■南アフリカ戦の焦点は「“いつ”クサビを入れるのか」
南アフリカ戦の焦点は、「いつ」クサビを入れるのかにありました。
相手は5―4―1で守ってくるから、サイドは空いている。そこにパスを「出させられて」しまうのか。それとも、中央が狭いなかでもクサビを入れることで、相手をより集結させてサイドを空けて突破するのか。真ん中から突破できるなら、もちろんそれはそれでいい。
試合が進むなかで生まれたもうひとつのポイントは、遠藤航と田中碧、ダブルボランチのうちひとりが相手のボランチの背中に入れるかどうか、にありました。
それについては、2人のプレータイプの関係上、田中碧が試合の途中から変えていったと思います。
システムの兼ね合いを考えると、ダブルボランチのふたりが後ろで回していても、相手を崩すことはできない。どこかで自分が前にいかないと攻撃に厚みができない、という戦況を見極めて判断を下したように映りました。相手のボランチの背中を取った田中に斜めにボールが入り、ファウルをもらうこともありましたし、チャンスを作ることもあった。
また、それを可能にさせた後ろの配球のテンポにも触れるべきでしょう。CBの吉田麻也と板倉滉のところは比較的時間があり、そこで持ち過ぎると相手を楽にさせてしまうし、的も絞りやすくなるのですが、ふたりはテンポ良く配球していた。それが南アフリカの選手たちの体力を削るジャブのような効果を与えていました。